世界124カ国の労働時間法制(ILO報告にみる)②

EU「労働時間指令」(1993年制定、2003年改定)も週の労働時間の上限を、残業を含めて48時間に制限しています。同指令は、この医学的見地に立ち、「職場における労働者の健康と安全を促進することを目的に」(前文)採択されたものです。

ところが日本では、一部を除き来年4月から施行される「働き方改革」一括法は、単月で100時間未満、2~6カ月平均で月80時間の残業を容認しています。これは「過労死ライン」と同水準であり、こんな長時間残業を法的に容認する国は世界に例をみません。

ILO報告書は、「1日8時間・週48時間という二重の制限があります。これをこえる労働時間は、事故や不可抗力、切迫した仕事のような限られた状況においてのみ認められる」と強調しています。残業を認める一時的例外というのは、非常に限定された場合に限られるということです。

ところが、日本は、労使協定を結べば残業させることが可能であり、しかも残業させる事情の定義を労使協定に委任しています。このような国は、世界で13カ国しか存在しません。

残業時間の上限規制としてILOが強調するのは、1日、1週、1年と三つの単位で上限を規制することです。ところが、わが国の改定労働基準法(2019年4月施行)は、1日単位と1週単位の残業の上限規制を設けていません。世界の流れに照らして、こんなに立ち遅れている国は日本だけといってもいいでしょう。

日欧の労働時間規制の比較(公務労働にも適用)